おはぎの話

お彼岸の、お中日、隣組の方からおはぎを頂いた。デパートの手提げに入っていたので、てっきり、既製品だとばかり思った。帰り際に、「おばあちゃんの様に上手くいかなくて…」と、仰って、お手製と知った。
「わー、それは、お手間入りを、済みません」改めて御礼を、言い直す。早速、母の遺影に、お供えして、報告!!
 
母の、おはぎは、ご近所でも、有名で、春、秋のお彼岸に沢山作って、皆さんにお配り、遠くは、車で、ご主人が取りにいらっしやる所もあった。
其のおはぎを、習いたいと、隣組の方、お二人が、講習!?に見えた。15年位前の事ではないかしら…はっきり覚えてはいない。
 
よく、覚えていらしたなあ、何時も身近にいて手伝っていた私は、餡の作り方も、もち米+お米の、つき方も忘れている。     時々、もっとよく教わって置けばよかったなと、思う事もあるけれど…時、既に遅しだ。
今日其の方に、道でお会いしたら「餡を、又お砂糖を足して、よく練り直したら、艶のある美味しいのが出来ましたよ」と言われた。私も、少し甘味が足りないな、と思ったけれど、母が、得意だった、餡を、ご飯で包んで黄な粉をまぶしたおはぎは、さっぱりして、美味しかった、「じゃあ、今度、餡子の作り方教えて下さいね」と、笑いあって、お別れした。
 
 
戦前、青山にいた頃、表通りの、タバコやのお婆さんが、お彼岸になると、お重箱におはぎを入れて、持ってきて下さったことを、ふと、思い出した。おはぎの上に、一つまみのお砂糖が、アクセントのように乗っていた。(何故、其のお婆さんと、お知り合いなのかは、解らない)あの頃の、町並みまで、懐かしく思い出されて来た。昔、昔、の、思い出。
今は見上げるような、ビルが立ち並んで、以前の面影は、全くない。